——様々な名車を産み出すパシフィック社ですが今年で何年目を迎えるのでしょうか?

当社は1980年創業ですので2010年で30周年を迎えました。
70年代から折りたたみ自転車を作りたい思いがありましたがフレームを真中から真っ二つに折るだけの折りたたみ(2つ折り)は嫌でした。2つ折りは、強 度、耐久性を考えるとどうしても弱いので、何の興味もありません。新鮮味もありませんでしたしね。私が興味を持ったのはバイクフライデー、ブロンプトンで すね。凄いと思ったし画期的だなと思いました。そうしたバイクに刺激を受けながら、私のものづくりがスタートしました。

——さまざまな名車の中でも代表的なモデルの1つとしてキャリーミーがありますが、そもそもどうしてキャリーミーを作ったのでしょうか?

今から約7年ほど前の2003年頃、ある医療系の企業(日本)から、車いすと一緒に走れる自転車が欲しいから作ってほしいとの依頼を受けました。そしてそれは車いすと一緒に車のトランクに入るものでなければなりませんでした。ラッキーなことに私には1980年当時、今から30年前にこのアイデアがあったのです。ですからすでにあったモデルに手を加えながら、約4週間で新星「CARRY ME」の試作を作り上げたのです。

——そのキャリーミーの最大の魅力はデザイナー自身はどこにあると考えてますか?

この手の極小タイヤのカテゴリーでは強度もジオメトリーも完璧に作ってあります。
ポジション出しは何回も微調整、試走(1年間で1000km以上を数年間)を繰り返しそのクオリティーを常に追求しました。
とにかく乗り味のパフォーマンスには細心の注意を払い、徹底的に注力してきました。


——日本で販売が開始されて5年が過ぎると同時に、年々着実にファンが増えております。それぞれのオーナーさんの使い方も実に様々で幅広く活用されてますが、このような広がり方は想像されてましたか?

医療向けに作った当時は、現在の状況は想像もつきませんでした。(笑)
今では日本をはじめ、ロンドン、シカゴ、ニューヨークと世界中の様々な都市で支持されています。
本当に嬉しく思います。
台湾国内のユーザーはCARRY MEで峠も上るしスピードも出します(笑)
日本をはじめ世界の各都市のユーザーにはライフスタイルに合った様々な使い方をしていただいているようです。

——日本では昨今、キャリーミーと同カテゴリーに属する極小ホイールでの事故が相次いでますが、それらの自転車とキャリーミーが確実に違うのはどのあたりでしょうか?

繰り返しになるがジオメトリー、強度、耐久性が違うんですよ。
ジオメトリーに関して言えば、重心が他の自転車と圧倒的に違うんです。
人間の中心はへそにある、自転車の中心も真ん中になければいけない。
CARRY MEは真ん中に重心を置いています。そうすることでの乗り味はとっても自然で、乗ってることすら忘れるくらいの一体感が生まれる。
本当にいい自転車は一体感を感じれるかではないでしょうか?
ただ極小タイヤ全般に言えることですが、段差を乗り上る際には十分注意いただきたい。

——今後のキャリーミーの展開はどのようにお考えですか?

アメリカ向けにエレクトリック(電動)が誕生しました。
それ以外は特にありません。
むしろ現在のモデルをブラッシュアップさせてより完成度を高めていきたいと思ってます。

——最後に日本のキャリーミーオーナー(ファン)の方にメッセージをお願いします。

CARRY MEのオーナー様のみなさんには、CARRY MEに乗って楽しんでいただき、多くの良い時間を、CARRY MEと共にお過ごしいただきたいと思います。