——廣瀬さんはもともと都市計画の専門家でいらして、現在TYRELLという非常に素晴らしいミニベロ自転車を作られています。もともとどういう経緯で自転車のデザインをはじめられたんですか?
私は、アイヴエモーション社を創業するまで、大学(千葉大院)を出てから、14年間程、都市計画コンサルタント会社(KGK)に勤めていました。在職中は、郊外のニュータウン開発から、都市および地域のマスタープランづくり、交通計画、商店街整備、あるいは高齢者福祉のまちづくりなど、都市の諸課題を解決するための、様々な調査・計画・デザインに従事していました。これらの仕事のフィールドは、東京のみならず、北海道から九州まで地方都市にも出かけ、地元の人たちと議論を重ねながら、時間をかけ進めるものでした。特に専門は、自然との調和、省エネルギー・リサイクル、コンパクトな都市開発の実現を図る「環境共生の都市づくり」でして、地域の固有の風土や文化を生かす、ゆとりと豊かさを持った暮らしの実現なのです。今風に言えば、LOHAS、スローライフと言えるでしょう。東京での慌ただしい生活や仕事をこなすスピードに、自分が求める将来の姿と隔たりを感じていた頃、実家の事情も重なり、故郷の四国・香川にUターンしたのが約2年半まえ。当時は、海外を放浪?したり、何も考えない時間を過ごしたりと、まさしく超スローな生活でした。TYRELLブランドは、このような超スロー?な時間の中から生まれたものです。東京に居た頃は、自転車通勤、週末はロードバイクでロングライドしたり、自転車は一番の趣味でしたが、自ら「自転車を創ろう!」と思い立ったのも、この自由でスローな田舎暮らしがあったからでしょう。いざ、自転車をつくろう、と決めた時から、自身の感性を研ぎすまし、全身全霊を込め、のめり込んでいきました。開発期間1年半をかけて・・・・
——そうすると、ちょうど開発されていた時ですね、はじめてお電話をいただいたのは。確か当時まだ国内でうちだけでしか扱っていなかったA-CLASS20インチの完組ホイールの引き合いの電話をいただいて、今回のホイールはサンプル車に使いたい??とのことで詳しく伺ってみると・・・ 近いうちに小径自転車のブランドを立ち上げるとのお話で。実際完成したTYRELLを初めて見た時はその完成度の高さに驚きました。小手先のデザインではこういったプロダクトはなかなか生みだせないと思います。TYRELLの開発コンセプトはどういったものなんですか?
TYRELLは、一言で言えば、私の分身。フレームのスタイリングや構成美、機能、そしてブランド哲学に至るまで。
基本コンセプトは、乗り手の心が惹かれる、シンプルで美しいデザインであること、すべてのフレームには、ブランドのアイデンティティを表出する、固有のデザインコード(スラントデザイン)を持つこと、軽快さ(軽量)と強さ(強度)を高いレベルでバランスをとること、に力点を置いて開発しました。
20インチの小径車には、コンパクトな構造を持ちデザインに自由度があること、街乗りからツーリングまで、多様な用途に利用できること、都市部を中心に初心者から愛好家まで、幅広いユーザー層を開拓できることなど、多くの可能性があり、TYRELL独自の商品バリューを提供できると確信したので、TYRELLでは、主力商品としています。
現在、7005アルミ製フレームのフルサスペンション機能を持つモデルと、3Al2.5Vチタン製のモデルの計3アイテムを用意していますが、基本デザインは、共通です。すべてに、高い走行性能を求め、小径車らしくない?安定感を出すために、ハンドリングの調整や前後重量バランスに、注視して、開発しました。さらに、乗り手の足を長く、美しく見せられるように、ヒューマンスケールを研究してデザインされています。これらエモーショナルかつヒューマンスケールは、TYRELLの大切なデザイン思想です。
——なるほど、非常に興味深いお話ですね。そうしたデザイン意図が実際のプロダクトにしっかり表現されて、乗り手を魅了するものに仕上げられた手腕には脱帽です。ブランドとしても非常にいいスタートを切られたと思いますが、今後のTYRELLの「野望」なんておありですか?
最初の野望(喜び)は、TYRELLをかっこよく駆って、疾走している人を、街で見かけること。自分が創り出したもの(価値)を、苦労して稼いだお金を払って購入してくれたオーナー様への感謝を実感する時でもあります。
TYRELLの野望は、地方都市で、産声をあげて間もない新興ブランドですが、世界の自転車ブランドの中で、確固たる存在感を示すこと。それは、今取り組んでいる普遍的なデザイン・スタリングの確立とブランドイメージづくりに依ること思います。さらに、出来るだけ早い時期に、欧米でリリースし、現地の人の評価を聞きたいです。
最終的な目標は、心からTYRELLを愛してくださる熱狂的なTYRELLオーナーに、信奉される深い魅力に包まれて高い品質とデザインの自転車を提供することです。(現在も他社にないわくわくする企画が進行中です)
今、モノ(ハード)づくりに集中してますが、私の経歴にあったように、環境にやさしい都市・まちの実現は、私のライフワークなので、最もサステーナブル((環境を破壊しないで)持続可能)な交通である自転車の普及・促進のために、地域の人やNPOと連携して、自転車モビリティを高めていきたいですね。今、地元の電鉄会社に、サイクルトレイン(車両への自転車持ち込み)プロジェクトを提案しています。
——GCSへの期待されることなどありますか?
GCS(グリーンサイクルステーション)、とっても良いネーミングですね。「自転車に乗る人が増えれば、自然環境に貢献し、緑が増える」。「緑が増える基地(拠点)」が、GCSなのですね。サイクルショップの理念として、すばらしいと思います。
GSC様は、初心者の方をターゲットにして、スタイシッシュな街乗り自転車ブランドからウェア、バック等小物まで、トータルファッションとしてお客様に、商品を提供されている訳ですが、乗る人の気持ちを考え、自転車に乗る楽しさや自転車のある暮らしを、提案されている点に、深く感銘します。先駆的なサイクルファッションリーダーの鈴木さんの情報発信拠点(ステーション)として、これからも、ユーザーの心を魅惑する、サイクル・エンジョイライフのご提案がなされることでしょう。TYRELLもその一員になれたこと、光栄です。
互いの感性がぶつかり会う創造の場(GCS : グレート・コラボレート・スチュエーション)となるように、TYRELLも研鑽して参ります。
——GCSにてタイレルをお買い求めいただいたオーナー様へのメッセージをお願いします。
中華街がすぐ近くの横浜都心にお店を構えるGCSにて、TYRELL製品をご購入のオーナーさまに、深く感謝致します。当社製品をご購入する決め手は、何だったのでしょうか?「オーナーさまの心を虜にする、何か熱いパッションを感じたのでしょうか?」。「あるいは一目惚れ・・・」。「いや、異性と接する時の、嬉しさ、至福感・・・」。きっと、オーナーさま、それぞれのわくわくする動機とストーリーを楽しみながらの品定めが、あったことでしょうね。
私たちTYRELLが、数あるブランドの中から、オーナーさまに、選ばれこと、至上の喜びです。オーナーさまのパートナーとして、TYRELLのアフターケアー、およびGCSの万全なサポート体制により、末永く愛され続けられこと確信しております。ご要望、ご意見がございましたら、どしどし、お寄せください。機会がございましたら、TYRELLの聖地・四国さぬきへのお越し、お待ちしております。多謝。